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広報誌『塾』2009年AUTUMN号 No.264 より引用

 

 私は、銀行行動の実証的な分析を専門としております。特に、銀行の貸出行動について、銀行、借り手企業の個票データを用いた地道な実証分析を続けています。私が、社会人の知人、友人などに、専門は何かと聞かれることは多々ありますが、銀行が専門だと答えると、なかなか具体的なイメージがわかないようです。銀行という誰にとっても身近な存在を経済学の理論を用いて仮説を立て、データを用いて検証するのが研究の醍醐味です。
 さて、ゼミの学生にも、関心のあるテーマを見つけ、経済学の理論を用いて仮説を立て、データを用いて検証するという一連の作業を学んでもらいます。経済学の分析には、数理的な理解力が不可欠ですし、ミクロ経済学、マクロ経済学といった標準的な科目の学習なくして応用研究はできません。また、経済学の論文や教科書は多くが英語で刊行されていますから、英語の学習も欠かせません。学生には、ゼミと講義を、独立したものと考えるのではなく、相互に補完し合うよう、基礎的な知識、技能の習得を目的とした有機的な学習プログラムを推奨しています。
 3年生は、3〜4名ずつのグループで、三田祭、他大学との合同ゼミでの発表に向けて共同論文を執筆します。4年生の活動は、卒論作成に向けた単独での研究活動が中心です。こうして当初は経済学の実証研究とは何かすらわからなかった学生も、充実した研究論文が書けるようになります。
 学生の多くは大学卒業後すぐに社会人になります。学生には背伸びをして少々、難しいことにチャレンジするよう奨励しています。学習・研究内容そのものが直接社会で役立つことは多くないかもしれませんが、背伸びをした経験は、実社会での困難な局面の克服にきっと役立つはずだと思っています。